顕微授精とその問題点

体外受精は、採取した卵子と精子をシャーレの中で混ぜ、受精させてから子宮に戻す不妊治療ですが、

これがうまくいかない、もしくは採精した段階で精子の動きが悪かった、重度の乏精子症や精子無力症、

卵子の外側を覆う透明帯が固い、といった場合には

 

「顕微授精」という方法がとられます。

 

これは、採精した精子から動きの良いものをひとつ選び、卵子に注入して受精させ、子宮に戻す方法です。

受精させた後、2日培養させて子宮に戻しますが、

もっと培養期間を長くして、自然妊娠で子宮内膜に着床する寸前の「胚盤胞」と呼ばれる状態まで育ててから、

戻す場合もあります。

 

これを「胚盤胞移植」と言います。

 

顕微受精で最も危惧されるのは、男性側の染色体異常や遺伝子異常が現れる可能性が高いということです。

異常が現れるのは、性に関する染色体や遺伝子がほとんどで、

これは不妊を抱える男性に性染色体や遺伝子の異常を持っている人が多いからだと考えられています。

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卵管内移植とは?

自然妊娠では、ほとんどの受精は、卵巣と子宮を結ぶ卵管の中で起こり、

受精したての胚が過ごすのは卵管の中です。

 

そこで、

顕微授精した受精卵を子宮ではなくて、卵管に戻して妊娠率を上げる、「卵管内移植」という方法があります。

 

高齢であったり、採取した卵や、受精できた胚の数が1~2個と少ない場合には、卵管内移植の妊娠率は、

体外受精に比べて2~3倍高くなるというデータもあります。

 

卵管内に戻す処置の時間は10~15分なのですが、腹腔鏡という内視鏡を使用する必要があります。

腹腔鏡をお腹に入れるのと、操作のために、お臍の下と下腹部の左右に5~10ミリ、メスを入れなければなりません。

 

卵管内移植は、一時、不妊症治療の主流でしたが、この腹腔鏡を使用しなければならないことと、

体外受精などの他の不妊治療での妊娠率が向上したことで、特別なケースでしか行われなくなりました。

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高度不妊治療と多胎、胚の凍結保存

体外受精、顕微授精、卵管内移植などの高度な不妊治療を行うと、

双子などの多胎となる確率が多いことは知られています。

 

これは、妊娠の確率を上げるために、複数の受精卵を子宮や卵管に戻すためです。

多胎は母体に負担をかけるので、

これをなるべく防ぐために、できるだけ少ない数の受精卵を体内に戻す傾向にあります。

 

採卵で取れる卵子は、平均10個程度だと言われていて、

この中で受精する卵子は8個、このうち体に戻せる受精卵は6個程度です。

 

1回の体外受精につき、2~3個の胚を子宮に戻すので、

余剰分が出てしまいます。

そこで、この余剰分の受精卵を凍結保存し、妊娠できなかった場合には、解凍して次回に使用する技術が開発されました。

 

凍結保存は医学的にも安全性が立証された方法で、

凍結受精卵から生まれてくる赤ちゃんに何らかの異常が現れる確率は、自然妊娠の場合と変わらないとされています。

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            (不妊症周期療法 譚定長)


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